カンダチメ史學手習

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【レポート】特別展「アラビアの道――サウジアラビア王国の至宝」

www.tnm.jp

 

ふらっと上野に行ったので、ついでといってはあれだが、門外漢なりに教養を深めようと思い、サウジアラビアの至宝を見てきた、という話。

 

 

 

私はアラビアのことを何も知らない

アラビアというと、どうしてもイスラームのことばかり考えてしまう。それはさながら、あまり日本のことを知らない外国人が、日本の歴史はサムライが全てだと思い込むようなものなのかもしれない。確かに日本では、侍が一世風靡した時代があったが、それが全てではない。それと同じように、アラビアのすべてがイスラームではない。

そもそも、地理的にアラビアはローマの影響を受けていた。この展示でも、ラテン語が登場したりする。あるいは、ムスリムの人々のいうところのジャーヒリーヤの時代があり、我々が普段アラビアとして接しているイスラームとは少し違う文化を見ることができる。

一方で、言うまでもなくイスラームの美術というのも興味深い。そしてそれら全てがアラビア半島であり、今回の展覧会に示されている。

とにかく、この展示の最大の感想は、私はアラビアのことを何も知らないことの再確認だったと思う。

 

上野でカァバ神殿の扉を拝める日が来るとは……

正直、休日にしては入館者が少なかった気がするのだが、資料の大盤振る舞い度の高さとしては、もっと騒がれても良いような気がする。

例えば、カァバ神殿の先代の扉。17世紀に作られ、20世紀まで現役の扉として使われていたものがそっくりそのまま日本に来ている。あるいはアブドゥルアズィーズ王の着衣など、まさにNational Treasureと呼ぶべきものが、しれっと展示されている。

そして恐るべきことは、これらが全て撮影可ということである。なんというか、サウジアラビア、おそるべし。

 

表慶館

展示会場になっている表慶館そのもの、結構見ごたえがある。そもそも表慶館は、

明治33年(1900)、皇太子(後の大正天皇)のご成婚を記念して計画され、明治42年(1909)に開館した、日本ではじめての本格的な美術館です。設計は、J.コンドルの弟子で、東宮御所(現在の迎賓館)なども手がけた宮廷建築家の片山東熊。中央と左右に美しいドーム屋根をいただき、上層部の外壁面には製図用具、工具、楽器などをモチーフにしたレリーフがあります。明治末期の洋風建築を代表する建物として昭和53年(1978)、重要文化財に指定されました。

東京国立博物館 - 展示 表慶館

 ということで、東京大空襲どころか関東大震災を乗り越えた歴史的建造物なのだが、明治のロマンを感じる、趣ある建物だった。ただ、順路が割と難しい。

 

アラブへの扉は案外身近なところに

www.aii-t.org

この学校の存在を今回の展覧会で知ったのだが、夜間コースがあるとは……アラブ、おそるべし。