世界史が無くなってしまうらしいという話
私はゆとり of ゆとり世代なのだが、今度新たに歴史総合という科目ができるそうで。
私自身は、自由度の高い高校だった上、高校の段階で既に史学科に進むことをほぼ決意していたので、世界史Bと日本史Bを両方履修していた。そういうわけで、(おそらく歴史総合のベースになっているであろう)世界史Aと日本史Aのことはよく知らない。
歴史総合という科目そのものについて特に言うことはない。内藤湖南も言っていた*1ように、あまり遠い昔の話というのは、「現代を読み解く」という目的のもとに考えれば、やや優先順位は下がってしまうだろう。高校生の短い時間の中で「必修」として学ぶなら、近現代が中心になるというのはうなづける。
それはそれとして。
世界史を無くしてしまうというのは大きな問題ではないだろうか?
例えば中国。近現代だけ切り取ると、眠れる獅子と警戒されながらも、西欧の流れについていけなかった印象ばかりが強くなってしまうが、まさに”中華”と呼ぶにふさわしい大帝国であり、日本を含め、多くの国がその恩恵を受けている。
また、ギリシャやローマ、あるいはイスラームをきちんと学ばないで、国際社会を読め解けるのだろうか?
そもそも元史学科としては、世界史を学ばなくなることによって、日本史以外の専攻を学ぶ学生数が大幅に減ってしまうのではないかという懸念も持っている。
本当に歴史にとり憑かれた人ならば、学校教育に頼らずとも勝手に興味を示し、勝手に専攻していくものではあるが、そのきっかけが失われてしまうのは悲しいし、前近代専攻としては、明日は我が身かと思わないでもいられない今日この頃である。