東京国立博物館のメンバーズプレミアムパス会員になってみた
非キャンパスメンバーズ大卒の悲願
転職して都内勤務になったので、東京国立博物館(以下「東博」)のメンバーズプレミアムパス会員になってみた。
東博の会員制度といえば、今年度パスポート制度が廃止になり、改悪なのではないかと一部で話題になっていたのも記憶に新しいが、都内で学芸員課程もありながら何故かキャンパスメンバーズに登録されていない大学卒で、もともとこういう会員制度とは縁遠かった私からすれば、とにかくお得になるならなんでもいいやという気だったので、さらっと5000円を支払ってしまった。
メンバーズプレミアムパスで元を取るには?
メンバーズプレミアムパスの特典
さて、このメンバーズプレミアムパスは、会員になると、以下のような特典が1年間得られる。
- 国立博物館4館の平常展が無料
- 特別展の無料観覧券×4
- 特別展の料金が団体料金になる(事実上5回目以降)
国立博物館4館というのは、東京・京都・奈良・九州なのだが、近畿在住か、出張で全国各地を飛び回り、かつじっくり博物館見学ができる余地があるような身分のビジネスマンでもない限り、1年間の間に4館どころか複数館をめぐる人はそうはいない気がする。
特別展の開催状況(2016年度)
一方特別展について言うと、東博では2016年度、
- 生誕150年 黒田清輝――日本近代絵画の巨匠(平成館・1600円)
- 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―(表慶館・1400円)
- 古代ギリシャ―時空を超えた旅―(平成館・1600円)
- ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―(本館特別5室・1000円)
- 平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち (本館特別5室・1000円)
- 禅―心をかたちに―(平成館・1600円)
- 春日大社 千年の秘宝(平成館・1600円)
という、7つの特別展が開催された(括弧内は会場と一般の当日料金)。
メンバーズプレミアム会員が使える無料観覧券は東博以外の国立博物館の特別展にも有効なので、旅先で使うという手もあるが、仮に平成館で行われる特別展で4枚使った場合、それだけで6400円分*1が無料になるので、平常展に一度も行かなくても1400円分得をすることになる(しかもチケット売り場に並ばなくてよい)。
ただし、無料観覧券を使った場合、その特別展の半券はもらえないというのは、人によっては大きい短所かもしれない。
平常展に行った場合
一方、平常展は一般620円である。特別展に一度も行かずに元を取ろうとすると、約9回*2で元が取れるので、月1回以上行くならお得な買い物である。
例えば、去年の私は禅展と春日大社展に足を運び、数回平常展を見に行った。もし昨年の時点で私がメンバーズプレミアムパス会員であったなら、特別展分(3200円)を差し引くと、3回も行けば元が取れていたし、仮に無料観覧券を持っていたならば、古代ギリシャ展や平安の秘仏展にも行っていた可能性が高い。……つまり、お得だったのだ。
まとめ
はっきり言って、この制度で得になるのは、ごく一部のリピーターに限られるような気がする。私の知り合いにもいるのだが、例えば会社の優待で特別展の観覧券が安くもらえる人だとか、平常展には何の興味もない人にはあまり魅力的ではないだろう。
一方、私のような重度の博物館マニアにはかなりおいしい制度である。先述の通り、私は昨年度、2回の特別展に足を運んだ。だがもしもっと無料になるということであれば、もっと興味の幅を広げて、日本絵画やアフガニスタンの学識を深めていたかもしれない。そういうセレンディピティ的な効果を求める人には、5000円というのは高い買い物ではないのではないだろうか。
そもそも特別展に行ったら図録だけで無条件で3000円ぐらい飛ぶわけだし、5000円なんて図録2冊以下なのだと思えば、非常に安い買い物である。