カンダチメ史學手習

kandachime11の日本史関係のブログ。博物館などいろいろ。

特別展管理手帳を作る

 

私の趣味のひとつに、手帳というのがある。

手帳が趣味というのはなんだかおかしな話だが、「書く」という行為*1が好きな上、自己管理能力が低いので、手帳にはそれなりにお金をつぎ込んでしまうのである。

そんな私が最近、「特別展管理手帳」を作ったら捗ったぞ、という話である。

特別展とガントチャート

特別展と平常展

学生時代、いくつか修学した学問のうち、結構印象に残っているのが博物館学、要は学芸員養成課程である。歴史学を専攻したものの、性格の都合で教師の道は選ばなかった私だったが、何かそれっぽい資格がほしいなあと思って受講したのが始まりだった。

結局のところ学芸員にもならなかったが、少なくとも趣味はとても充実しているし、世間的にはまあまあ珍しい肩書だからか、しばしばその手の質問を受けることもあるので、無駄ではなかったと思っている。

 

さて、その講義の中で、特別展にばかり人が集まるのはよくないのではないかという話になった。確かに、東京国立博物館(以下「東博」)のうち、平成館に行ったことがある人は多いが、それと同じ数の人が本館に行っているのかと言えば甚だ疑問である。これでは場所貸しと同じではないかと先生は嘆いていたが、それも一理あるだろう。

とはいえ、平常展には(展示替えこそあるものの)いつでも行けるし、往々にして特別展より閑散としているものである。

そうなってくるとやはり、私のようにそれなりの頻度で博物館に行く人にとっては、一周回って特別展の価値が高まるのではあるまいか、とも思う。

 

余談だが、周囲の「あまり博物館に縁がない人たち」の話を聞くと、東博は特別展の印象が強く、現在閉館中の江戸東京博物館(江戸博)は平常展の印象が強いような気がする。東博の平常展*2も貴重な品が多くて面白いし、江戸博の企画展も逸品がそろって面白いのだが、これはやはり、平常点の展示の仕方に関係してくるのではないかと思う次第である。この点は、いつか別の機会に考察するかもしれない。

 

特別展とガントチャート

ところで、特別展の情報というのは手に入りやすいが、一方で管理しづらい。基本的に博物館は4月はじまりで、しかも実際にはかなり早い時期から企画が決定しているので、場所によっては1年間の特別展の予定が春にすべて発表になる例もあるが、そうではないこともある。また期間もまちまちで、非常に短いところもあれば、半年ずっと同じ展覧会をしていることもある。ついでに言うと、休館日も基本は月曜日のところが多いが、変則的になっている場合もある。

 

今月、私は運慶展に足を運んだ。きっかけはどこかの地下鉄の駅の広告だったのだが、うすぼんやりと「11月まで」という知識しかなかった。

一方、実は同時期に根津美術館の「ほとけを支える」展にも行きたかった*3のだが、こちらとスケジュールがどうかぶっているのか、確認する手段がないことに気づいた。

普段持ち運んでいる手帳に書いてもよいが、別に期間中毎日特別展に足を運ぶつもりはない。むしろガントチャート(みたいなもの)にまとめて、行きたい日付のところだけ見ればどんな特別展をやっているかわかり、それに合わせて予定を立てられる――みたいなものの方が良いような気がして、ガントチャート主体の手帳を探し始めたのだった。

よくよく考えたらExcelとかでまとめたり、アプリで管理したほうが、ハイパーリンクも貼れて便利かもしれないのだが、そんなに大それた作りにする気もなかったので、手書きを採用した。

 

Gantt chart diary

結局私が買ったのは、この手帳である。 

 

www.apj-online.com

 

別にガントチャートつきの手帳は他にもあるので、この手帳でないといけないとは思わないのだが、使っていて良いと思う点は以下の通りである。

  • 薄い
    特別薄くしなくてはならない理由こそ無いが、特別展の管理というごく限られた用途なので、厚い必要はない。
  • 記入欄が大きい
    休館日や、東博のように時間延長を行う日がある博物館の場合、ガントチャートの矢印の上に「休」とか「延」(字が小さい人ならおそらく延長時間も書けるだろう)とかが書ける。
  • マンスリーページがある
    いつどこの博物館に行ったとか、今月最終月を迎える特別展とかを書いておけるので便利である。また、こちらも記入欄が大きい。
  • 紙質が良い
    万年筆の裏抜け*4をしないというのは素晴らしい。
  • 安い
    同社のG.B.Planner*5より安い。
  • デザインがいい
    最近の手帳はどれもこれもデザインがいいが、こういうデザインが個人的に空き、というだけかもしれない。恐らくEDiTとかが好きな人向き。

 

カンダチメ流ガントチャートの使い方

  1. 興味のある博物館を調べる
    家や学校、職場から近い博物館や、自分の関心のある博物館を調べ、特別展の情報を仕入れる。
  2. 興味のある特別展を調べる
    駅広告やテレビなんかから得られる情報をもとに、他の博物館の情報を追加する。例えば、今手元の手帳に国立科学博物館の古代アンデス展の予定が書かれているが、まさか国立科学博物館アンデス文明についての展覧会をするとは思っていなかったので、これは大きな収穫だった。
  3. Project欄に特別展名を書く
    小さい博物館であれば、特別展を同時開催することはまずないので、Project欄に博物館名を書いて、その博物館の年間予定にするという手もあるが、大きい博物館の場合、特別展がいくつも開催されていることや、いわゆる総合博物館ではそもそもチェックする必要のない特別展が混ざっていることもあるので、私は特別展ごとに管理している。
    例えば郷土博物館などで、その博物館の特別展全てを管理したいというのであれば、博物館ごとに管理していもいいかもしれない。
  4. 期間に線を引く
    1Projectにつき2マス分あるので、私は上の欄に休館日や延長日を書き入れ、下の欄に線を引いている。
  5. その展覧会の最終月のProject欄に下線を引く
    正直なところ、最終日が近づくにつれて特別展はどんどん混雑するので、あまり最終日間近には行きたくないのだが、かといってそのものを逃してしまうのも問題なので、優先順位をつけるために行っている。

こんな感じで管理をすると、今どんな特別展をやっているかがわかるようになる。ついでに、一番下のProject*6に個人の予定を書き入れておけばもっと便利かもしれない。

 

 

私の目標は、年12回博物館に行く(※特別展に行く、ではない)ことである。

専門分野は日本史なので、古代アンデス展や美術館に行く必要はあまりないのかもしれないが、日常を離れ、学術的な感性が否応なしに鋭くなる(広義の)”博物館”という空間が好きなので、この手帳で管理しながら積極的に出向きたいと思う。

*1:こう言うとよく、タイピングに代表されるような「デジタルなもの」のアンチテーゼとしてとらえられかねないが、私はどっちも好きで、どちらにも良さがあるので、両立していけるものだと思っている。私の場合、「デジタルなもの」が嫌いだったら、おそらくブログなんて書いていないだろうし、ITエンジニアなんて仕事を選んでいないだろう。

*2:いわゆる「総合文化展」。

*3:こちらはきちんと日程も調べて、日取りも決めていたのだが、その日不可避の予定が入ってしまい、結局行けなかった。

*4:少なくとも普段愛用しているプラチナのブルーブラックは裏抜けしなかった。

*5:ちなみに私がG.B.Plannerを選ばなかったのは価格面の問題というより、G.B.Plannerはガントチャートが折り紙になっている(それが長所でもある)ので、強度面の不安を感じたからである。

*6:私が採用しているGantt chart diaryだと10番目。